阪神高速の安全への取り組み~アクションプログラムの策定~【後編】
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阪神高速の安全への取り組み
~アクションプログラムの策定~【後編】
阪神高速道路では、年間約6,000件の事故が発生(2018年現在)しています。
【前編】では、阪神高速道路の事故を減らすための取り組み「アクションプログラム」についてお話を伺いました。
【前編】はコチラ!
阪神高速の安全への取り組み
~アクションプログラムの策定~【前編】
事故多発地点であるカーブや、追突事故が発生しやすい渋滞多発区間に対する交通安全対策を実施し、事故が減少していることを教えてもらいました。
【後編】では、今後の課題や現在チャレンジ中の対策について、詳しくお話を伺います!
課題は「ドライバーの慣れ」
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宇野さん、今回も宜しくお願いします!
前回の記事で、様々な対策の効果もあって、事故件数は減少している、というお話を聞かせてくれました。でも「課題」もある、とも仰っていましたが...。 -
ええ、事故件数は確かに減少していて、一定の効果が出ています。
ですが路面表示や看板は、表示内容が基本的に変わりません。なのでドライバーの方はだんだん表示に慣れてしまって、効果が低下してしまう恐れがあると考えています。 -
なるほど。そうなると、再び事故が増えてしまう心配が出てくるというわけですね。
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そこで、必要な時だけ注意喚起が行えるライトなどを設置していくことで、追突事故の削減をめざす取り組みも試しているところです。
本線料金所付近における対策
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料金所付近もよく事故が起こるポイントなんですね!
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そうですね。分析の結果、以下のようなものが事故の主な原因になっていることがわかりました。
主な原因
・ETCレーン通過時の速度超過
・混在レーンにおけるETC車と一般者との混在利用対策
・ETC開閉バーの開くタイミングを遅くする
・レーン通過速度についての注意喚起の設置
・混在レーンの削減 -
上記の施策で一定数の事故削減の成果は出ていますが、現状でも事故多発区間に含まれる本線料金所があります。その対策も今後の課題です。
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具体的に、どのようなアプローチがなされるのでしょうか?
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事故がよく発生している本線料金所ブース部はもちろん、その前後区間において発生している事故及び交通状況を細かく調べあげました。特に以下のポイントに目をつけたんです。
・9割以上のお客様がETCを利用される現状に即した走行環境となっているか
・お客様が不必要な車線変更を強いられ、車両接触が多発している区間がないか -
この観点から、さらに事故原因を分析・追究したんですね。
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はい。また、「本線料金所そのものが存在しないことが最も効果的な安全対策である」という考えのもと、一部の本線料金所を撤去しました。これは2012年1月から阪神高速が「距離料金」に移行したことで料金圏が廃止され、料金圏の境界部に設置されていた一部の本線料金所を撤去するという対策が取れるようになったことで実現できました。
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さまざまな角度から安全が追求され、実践されているわけですね!
交通を整流化させ、事故を未然に防ぐ
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第3次アクションプログラムでは、1次・2次での取り組みの見直しや改善にも力を入れ、その成果をこれまでお話してきました。そして、ここからは第3次からスタートした新たな取り組みについてご紹介します。
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お願いします!
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まずは、特に事故率が高い15号堺線と1号環状線の合流部の対策について。これまで効果的な安全対策が立てられなかった場所で、改めてさまざまな角度からの分析を行いました。
・本合流部へ流入する交通量の出発地、及び行き先別の詳細についての把握
・車線変更位置を詳しく把握するための映像による車線移行状況分析
・事故発生状況に関する区間別事故形態の把握 -
上記の分析で、見えてきたことがあったのでしょうか?
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合流直後に各車線から一斉に車線変更が発生していたんです。それにより、交通の流れが無秩序になり、事故を引き起こす原因となっていることがわかってきました。
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対策としては、どういったことをしたんですか?
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具体的には以下の対策を実施しました。
・一部の車線境界線を通常の破線から白実線へ変更
・路面表示による事前方面案内の新設2つ目の路面表示は、合流部の手前に設置し、お客様の目的地に応じた最適な走行車線をいち早くお示しする役割があります。
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なるほど。それによって無秩序な車線変更を抑制し、正しい方向へ車の流れを導く(整流化する)わけですね。
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そうですね。事故につながりやすい危険な区間を避けた、段階的な車線変更が促され、より安全な走行環境が実現できると期待しています。
逆走・誤進入や落下物などの対策について
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高速道路を逆走した、といったニュースを耳にしますが、逆走は全国的に社会問題にもなっていますよね。
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そうですね。全国でさまざまな対策が進められていますが、阪神高速でも2017年度までに出口および合流部において、路面表示や案内表示を改善しました。
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今後さらに対策は強化されるのでしょうか?
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特に逆走が起こりやすい出入口については、その特徴と原因を分析して、そのうえで対策を考え、今以上に充実させる予定です。
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歩行者や自転車の誤進入対策については、どんな感じでしょうか。
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注意喚起看板などの設置が基本となります。加えて、第3次アクションプログラムでは、特に誤進入が発生している出入口に対し、カラー舗装や有料道路を強調した看板を追加し、誤進入の未然防止を図っていきます。
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誤進入の対策は、高速道路に入る前の段階での話になるので、一般道路での案内なども必要になってきますよね。
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おっしゃる通りで、一般道路などにおける対策については、各道路管理者と連携しながら実施していきたいと思います。
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なるほど。落下物事故については、どのような対策があるんですか?
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まず、事故多発区間で落下物が事故原因と考えられる区間をピックアップしました。
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どういった場所や場面で落下物が多いとか、傾向はあったりするんですか?
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分析の結果、風の強い日は湾岸線を中心に落下物の発生件数が増えることがわかりました。当該日には落下物多発区間を中心に、交通管理隊による巡回を強化し、落下物の早期発見・回収に努めています。
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天候などに合わせて、巡回などもされているんですね。そういった皆さんの日々の努力が、事故削減につながっていることがよくわかりました。
より見やすい案内標識をめざして
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阪神高速は都市部に道路ネットワークを形成しており、複雑な道路構造となっています。
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確かに、初めての人はもちろん、まだあまり利用したことがない人だと、目的地に行くためにはどこで降りたらいいのかとか、迷うことがありますよね。
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「次の出口で降りなきゃ」と直前で気づいたりすると、意図しない速度低下や急な車線変更につながり、それが事故にもつながりかねません。
そこで阪神高速道路では、これまでにも本線車線がそのまま分岐するようなジャンクション(JCT)などを対象に、車線が分かる矢印を示した標識を設置するなど、より分かりやすいご案内に改善する取り組みを進めてきました。 -
道路標識も日々進化しているんですね!
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はい。第3次アクションプログラムでは新しい取り組みとして、以下のような取り組みも実施しています。
1号環状線西船場JCT付近において、神戸・湾岸方面を示す矢印をピンク、信濃橋出口を示す矢印を青に着色した予告・分岐標識を設置。路面も同様に色に着色。
2号淀川左岸線において、出口をより強調した標識を設置。すぐ先にあるJCT分岐部との区別の明確化を図る。
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確かに、わかりやすくなりそうですね!
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特に1号環状線とその周辺においては、「1号環状線改良計画」として、今後も総合的に改善を実施していく予定です。
サイト「SAFETYナビ」で安全運転について学ぶ
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ところで、阪神高速では安全教育サイト「阪高SAFETYナビ」を開設し、ドライバーのみなさんに、安全に関する知識や意識を高めるために活用いただいています。安全運転には、自身の運転特性を知り、危険を察知し、あなたにとって必要な注意情報を身につけることが大切です。それらの情報を知り、自分の特性をチェックできるさまざまなコンテンツが用意されています。
・自分の安全運転レベルを知る→SAFETYドライブ カウンセリング
・危険察知力を高める→SAFETYドライブ トレーニング
・安全ドライブの計画をお手伝いする→SAFETYドライブ プランニング -
そうなんですよ!それぞれ無料で、誰でも簡単にお試しいただけるので、ぜひご利用ください。他にも、阪神高速パトロール隊員の解説による「達人と学ぶ阪高運転の"コツ"」やゲーム感覚で運転年齢や能力を測定できる「SAFETYドライブ チェック」などのコンテンツも。楽しみながら、運転や安全について学ぶことができますよ。
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私たちは、これまでご紹介してきたように事故削減に向けカーブ区間や本線料金所、道路標識など、さまざまなハード面の対策に取り組んできました。ただ、いくら安全な道路を作っても、運転する側の意識が高くないと、事故は起こりやすくなってしまいます。
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そんなドライバーの安全運転への意識を高める役割を果たすのが、「阪高SAFETYナビ」というわけですね。
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はい。多角的に事故原因を分析し、ハード面はもとより、ソフト面からの対策も立案。それを実践していく中で、今後も阪神高速をご利用のみなさんの安全を支えていければと考えています。
今後の目標
2021年における事故件数を5,000件台前半に!
2007年に策定され、現在第3次まで実施されている「アクションプログラム」を中心に、阪神高速道路株式会社の安全への取り組みについてご紹介してきました。
道路は普段みなさんが当たり前のようにご利用される、身近なインフラのひとつ。
そこでは快適性はもちろん、何より安全が重視されなければならず、日々「安全・安心・快適なネットワーク」づくりに全力で取り組んでいます。
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今回ご紹介したもの以外の取り組みも含め、今後もさまざまな取り組みにチャレンジし、皆さんの安全運転に寄与していければと思います。
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それでは最後に、今後の目標についてお聞かせください。
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2021年度における全体の事故発生件数を、2016年度実績の約6,000件から600件削減することをめざします。
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期待しています! 本日はありがとうございました。