阪神高速の安全への取り組み~アクションプログラムの策定~【前編】
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阪神高速の安全への取り組み
~アクションプログラムの策定~【前編】
自動車を運転する際に、まず心がけるのは安全運転ですよね。
阪神高速道路株式会社でも、交通の利便性を高めるのはもちろん、2005年10月の民営化以降、常に安全についての取り組みに力を入れてきました。
その具体的な施策が、阪神高速道路の交通安全対策『アクションプログラム』です!
ただ、具体的にどのようなことが行われ、どのような成果が出ているのかは、いまいちドライバーのみなさんには伝わっていません。
そこで、この記事では阪神高速道路株式会社 保全交通部の宇野さんに『アクションプログラム』の具体的な中身について聞いてみましょう。
阪神高速の交通事故の推移
2005年時点で、事故件数は7,000件超
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阪神高速は全体の長さが260.5kmあります(2018年3月時点。京都線を含む)。
阪神高速には1日にどのくらいの車が走っているかわかりますか? -
うーん、考えたこともなかったな・・・。全然わからないです。
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平日で1日あたり平均約75万台です。
・事故件数 6,006件
・供用延長 260.5km
・利用台数 1日平均約75万台
※阪神高速道路における交通事故発生状況及び交通状況(2016年度)
(阪神高速道路(株)独自集計値) -
そんなに走っているんですね!? 想像していたよりも多かったです。
事故件数は6,000件もあるんですね。 -
阪神高速道路が民営化される2005年には7,300件近い交通事故が起こっていました。そこから見ると1,000件以上の削減を実現できました。しかし、事故件数をもっともっと減らすことが私たちの使命であり、さまざまな取り組みにチャレンジしています。
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その中心的なものが阪神高速道路さんの『アクションプログラム』というわけですね。
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そうですね。こちらのグラフをご覧ください。
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追突事故がもっとも多いんですけど、壁などへの接触やクルマからの落下物などもけっこうあるんですよ。
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そうか、一口に「交通事故」といってもいろいろなケースがあるんですね。
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そのトータル件数が2005年時に7,300件近くあったわけですが、その後5,300件台まで交通事故を減らすことができました。現状、少し増えて2016年度に約6,000件になっていますが、引き続き交通事故削減の取り組みに努めていきます。
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この数字を見ると、確かにアクションプログラムが有効に働いていることがわかりますね。
交通安全対策として、2007年にアクションプログラムを策定。
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第1次アクションプログラムを策定したのが2007年。その時に主な対策として、以下の4つの柱を掲げました。
・カーブ区間
・分合流区間
・本線料金所
・落下物対策 -
この4つは、やはり事故が起こりやすいポイントということでしょうか?
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その通りです。4本の柱として対策を実施した結果、導入翌年の2008年には前年より約900件少ない6,044件と交通事故が減少。以降、上でご紹介したように6,000件前後で推移しており、一定数の効果が現れたものと考えています。
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それまで7,000件を超えていたのが、1,000件近く事故が減ったわけですもんね。
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そうなんです。2010年~2014年にかけて実施した第2次アクションプログラムでの新たな取り組みと、それとともに第1次で実績を上げた対策をさらに展開したことが、上記の数字につながったと考えています。そして、2017年から第3次アクションプログラムがスタート。事故件数のさらなる削減をめざしています。
第3次アクションプログラムでの取り組み
事故多発地点170区間を抽出
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事故を減らすためには、まずは安全対策が必要な区間をきちんと選ばないといけません。そこで、単純に発生した事故件数だけではなく、事故の起こりやすさにも着目した分析を行い、事故多発区間を抽出しました。
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それって、具体的にどのように抽出されたんですか?
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事故件数/(交通量×区間延長)で算出される「事故率」に着目しました。
事故率の定義
・阪神高速道路を、交通状況や道路構造などを目安に約1,100区分に分類。
・各区間ごとの2013年度から2015年度における事故率が、阪神高速道路の平均的な事故率より統計的に高いと判断される区間を事故多発区間として抽出。
・「全体の事故率」「人身事故の事故率」「速度帯別の事故率」に3つに分類。 -
この方法で阪神高速全体を約1,100区間に分けて、統計的な分析を通じて約170区間を事故多発区間として抽出しました。
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特定された約170区間に集中的に対策を行うことで、事故件数を減らすというわけですね。
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はい。この170区間への対策を通じて、阪神高速全体で事故を減らすことにチャレンジしています。
これから個別の対策について、代表的なものをご紹介していきますね。
事故多発地帯であるカーブ区間における対策
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高速道路で事故がおきやすいポイントって、どういったところが思い浮かびますか?
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そうですね...。まずは、急なカーブがあるところでしょうか。
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その通りです!カーブ区間では、直線区間に比べてスピードの超過が原因の接触事故が起こりやすいことがわかっているんですよ。その対策として、これまでのアクションプログラムで以下の施策を行ってきました。
・滑り止め舗装
・側面矢印の表示
・LED点滅灯やすべりにくい舗装の設置 -
タイヤの滑りを抑える舗装をはじめ、側面矢印を目立つ表示にすることでカーブを強調。それとともに、速度抑制を目的とした視線誘導灯やLED表示版などを整備することで、交通事故の数を減らします。
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第3次アクションプログラムでは、さらに対策が強化されているのでしょうか?
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そうですね。現在、以下のポイントを特に推進しています。
・カーブの先の道路形状についてわかりやすくお伝えする看板の設置
・カーブの先で起こる渋滞状況をお知らせする点滅灯の設置 -
さらに、すでに対策を実施した区間もきちんとフォローアップし、必要に応じて追加の対策を考えるとともに、速度超過以外の原因で発生する事故への対策についても見極め、より高い水準の安全対策に取り組んでいきます。
追突事故多発区間における対策
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渋滞がよく起こる区間では、渋滞車列中や渋滞の最後尾への追突も起こりやすいですね。
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僕も両方ともぶつかりそうになった経験があります。見通しの悪いカーブで、曲がったら急に渋滞の末尾が出てきて、あわててブレーキを踏むといった経験を持っている人は少なくないのではないでしょうか。
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その対策としてアクションプログラムで取り組んできたのが、注意喚起の路面表示や、看板を必要な箇所に設置することです。
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確かに、そういった表示はよく見かけますね。
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実際にこのような対策で、対策前後の追突事故の件数を比較すると・・・
事故件数が減少したという結果もあるんです!
でも、喜んでばかりもいられないというか、課題もあるんです。
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えっ!一体、なんでしょうか?
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それは次回、お教えします。
ヒントは、「ドライバーの慣れ」です。 -
ううーん、気になる...!
楽しみにしています!