トンネル内で火災発生!安全に避難するための正しい行動とは?
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トンネル内で火災発生!安全に避難するための正しい行動とは?
トンネルという閉鎖的な空間では、ひとたび事故や火災が発生すると二次被害を起こす可能性があります。
万が一、トンネル内で非常事態に遭遇した場合、大切なのは冷静に行動することです。
そこで今回の記事では、トンネル内で起こった非常事態を事例に、
・実録!阪神高速トンネル内で起こった非常事態
・トンネル内で火災発生。避難をシミュレーションしよう!
・トンネル内火災の難敵「煙」に対する阪神高速の対策について
といった内容をご紹介します。
もしものときに備えて、正しい行動を覚えておきましょう!
実録!阪神高速トンネル内で起こった非常事態
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今回の記事をナビゲートする阪神高速道路株式会社の加瀬です。
まずは、実際に阪神高速のトンネル内で起こった非常事態について見てみましょう。 -
僕自身はトンネル内での非常事態には遭遇したことがないけど、けっこう起こっているものなんですか?
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阪神高速の過去5年のデータで見ると29件の事例があり、年間だと5~6件発生している計算になります。(※1)
- 1 トンネル内通行止め件数【出典:阪神高速道路交通統計データ(2015年度~2019年度)】
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遭遇したらと思うと...ぞっとします。
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トンネル内で非常事態が起こると大きな事故につながりかねません。
ここでは、比較的大きな影響が出た事例として、トンネル内で起きた車両火災のケースをご紹介します。
阪神高速トンネル内で起こった非常事態
2020年11月16日、大和川線トンネル内で車両火災が発生しました。
・通行止めした時間 ⇒ 9:00~10:45
・影響台数 ⇒ 約4,300台 (※2)
- 2 トンネルが通行止めされなかった場合、トンネルを走行したであろう台数(2020年の平日平均交通量より算出)
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ケガ人や避難はありませんでしたが、一時的な通行止めになるなど、交通状況には少なからず影響が出ました。
-
具体的な数字で見ると、大きな影響が出てるんですね~。
ただ、通行止めされた時間は1時間半ほどで、意外と早く復旧されているんですね。 -
そうなんです。
トンネル内の設備や関係者の迅速な対応により、交通への影響を最小限に留めるよう努めています。
トンネル内で火災発生。避難をシミュレーションしよう!
高速道路に限らず、突然起こるのが非常事態です。
もしもの時のために、事前にさまざまなシチュエーションを想定しておくことが大切です。
阪神高速トンネル内の火災現場
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うわぁ~。実際に運転中にこうした現場に出くわすと、動揺して何もできなさそうですね...。
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おっしゃるように非常事態の現場ではパニックになられる方も少なくありません。
だからこそ、事前に避難方法を知っておくことが大切なんです! -
というわけで、ここからは火災発生時を例に
・トンネルに入る前
・トンネル内にいる時それぞれの対処方法をご紹介するとともに、避難経路についても詳しく解説します。
トンネルに入る前の避難方法
トンネル入口手前に、信号や情報板があれば必ず確認しましょう。
もしトンネル内で火災が発生したら、下の画像のような文字が出ます。
-
「進入禁止」と出ているように、その場合は車を止め、トンネル内には入らずに待機するのがいいということですね。
-
おっしゃる通りです。
その際には、以下のポイントに気をつけてください。・ハザードランプで後方の車へ「停止」の合図
・車を左側に寄せて停車する(※3)
・サイドブレーキをかける
・エンジンを切る- 3 渋滞などで左側に寄せられない場合は、両端に寄せる場合もあります。
-
トンネル内に立ち入らないのはもちろん、あわてず、冷静に行動するようにしましょう。
トンネル入口手前
トンネル内にいる時の避難方法
トンネル内で非常事態が発生すると、車の防災連動ラジオなどで「情報板の指示に従って~」という音声が放送されます。
またあわせて、下の写真のような警報板に避難の案内が表示されますので、その指示に従って避難しましょう。
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トンネル内警報板
警報板で「火災発生とまれ」の案内があった場合、次のように行動してください。(※4)
・車を左側に寄せて停車する(※3)
・サイドブレーキをかける
・エンジンを切る
・車から降りる際はキーを残したままにする
・非常口に向かい、避難する- 3 渋滞などで左側に寄せられない場合は、両端に寄せる場合もあります。
- 4 その他、長大トンネルでは火災発生の場所によって「火災発生 次で出よ」や「後方火災走行注意」などの案内が表示される場合がありますので、警報板の指示に従って行動してください。
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警報板で「火災発生とまれ」の案内があった場合は、必ず停車してください。
火災発生箇所をすり抜けて通過する行為は、火災に巻き込まれる可能性があり、大変危険です。トンネル内
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どんなに急いでいても絶対してはいけない行為ですね。
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おっしゃる通りです。
また緊急車両の通行ができなくなるので、車を左側に寄せることも忘れないでください。 -
あわてて忘れないようにしないといけませんね!
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救助活動のため車を動かすことがあるので、必ずキーを付けたままにしておくことも大切です。
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なるほど。そのためだったんですね!
ちなみに、非常口はトンネル内にいくつか設置されているのでしょうか? -
トンネル内では標準300m間隔で設置されています。
下の写真のように、今の位置から非常口までの距離が看板に記されているので、状況に応じて避難してください。非常口
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また車から出た後は、拡声放送器でも避難のご案内をしていますので、拡声放送や非常口案内表示に従って行動してください。
拡声放送器
-
わかりました!
高速道路と避難場所をつなぐのは「すべり台」!?
2020年3月に全線開通した阪神高速6号大和川線は、9.7kmある高速道路のうちの6.8km(約70%)がトンネル構造になっています。
それだけに、これまで見てきたようなトンネル内での火災など非常事態が発生した場合、多くの車を巻き込んだ大きな被害を引き起こす可能性があり、そのための対策も考えられています。
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万が一の際に、いかに素早く、安全に避難できるかが大切なポイント。
大和川線ではシールドトンネルの下部の空間を利用した「すべり台式の非常口」を採用することで、それを実現しています!シールドトンネルとは?
「シールドマシン」と呼ばれる円筒状の機械を使って、地下を掘り進めて造るトンネルのこと。掘削工事に比べて、地上への工事影響が少ないのが特長です。
お客さまが走行中に目にするのは道路より上の部分、すなわち走っている道路とアーチ状になった天井なわけですが、シールドトンネルは円形なので道路の下部に空白が生まれます。 その空白部分を有効活用するというわけです!
シールドトンネル
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道路と下にある空白部分をつなぐのが「すべり台」なんですね!
ちなみに、他にはどんな避難経路があるんですか? -
トンネルの構造によって違いますが、大和川線で採用されたもう一つのトンネル構造である「開削トンネル(※5)」では非常階段を使って地上に避難します。
- 5 開削トンネルとは... 地上から地盤を掘削し、その中に鉄筋コンクリートでトンネルを造った後、上部を土で埋め戻す工法で造るトンネルのこと。
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すべり台は、トンネル内100~300mおきに上下線各22基が設置され、想定では1分間に40人の避難が可能です。
なお、このシールドトンネル内の下部を活かしたすべり台式の非常口は西日本で初の採用となります。 -
普通にお話を聞いてましたが、西日本で初だったんですね!?
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そうなんです。最新の技術を積極的に導入し、より安全・安心・快適な高速道路を目指しています。
それでは、すべり台を使った避難経路について見てみましょう。シールドトンネルの避難ステップ
①道路沿いにある非常口の扉を開ける
②すべり台を降りて、道路下の安全な空間に避難
③案内に従って避難通路を進み、非常階段から地上へ
①すべり台につながる非常口はトンネル内に100~300mごとに設置され、引き戸を開けると下部の空間につながるすべり台が見えます。
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普通に運転している時は何も気づかなかったけど、下に続く非常口がたくさん用意されているんですね。
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はい。非常口の扉はどなたでも簡単に開けられるので、いざという時も安心してください。
②下の写真のように、すべり台をすべると避難通路に到着します。
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本当にすべり台になってる!
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特に急勾配になっているわけではないので、無理なくすべっていただけると思います。
③避難通路に到着後は非常口案内表示に従い、地上につながっている非常階段まで移動し、自分のペースで地上まで上がっていきましょう。
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いったん降りて上まで上がるとなると、地上まではけっこうある感じですよね...。
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それは否定できません(苦笑)。
ただ、避難通路は道路部分とは遮断された安全な空間ですので、個々の体力に合わせて、無理なくゆっくりと階段を上がっていただければと思います。 -
なるほど、安心しました。いずれにしても、落ち着いて避難することが大切ってことですね。
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大和川線の火災時の避難方法については、以下の動画もご参照ください。
トンネル内火災の難敵「煙」に対する阪神高速の対策について
火災は逃げ遅れなどにより、死亡事故につながるケースもあります。
死因のトップは「火傷」ですが、実はそれと同じくらい煙による「一酸化炭素中毒・窒息」も多いんです。(※6)
- 6 平成30年版 消防白書「火災による死因別死者発生状況の推移」より
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火災=炎による火傷というイメージがあるけど、煙も怖いんですね...。
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そうなんですよ。トンネル内で火災が発生した場合、煙は天井から溜まり、最終的にはトンネル内に充満し、視界が悪くなってしまいます。
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煙で視界が悪くなると、方向感覚がわからなくなって、どっちに逃げていいのか瞬時に判断できなくなりそうです...。
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阪神高速では、そうした非常事態にもしっかりと対策を整えています。
その火災時の煙からお客さまをお守りするための重要な設備が、天井に設置されたジェットファンです。
それがコチラ!ジェットファン
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このジェットファンを使って、トンネル内の汚れた空気や火災などが発生したときの煙を排気施設まで送ります。
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煙をコントロールしてくれるわけですね。
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はい、それにより避難環境を確保しているんです!
まとめ
この記事では、トンネル内で起こった非常事態時の対処法などについて、火災の事例を元に詳しく解説しました。
今回の記事のポイント
・トンネルに入る前に情報板で火災発生の情報が表示されていた場合は、後続車に気をつけて車を左側に寄せて停止、決してトンネルには入らない
・トンネル内で火災に遭遇した際は、情報板や拡声放送の指示に従って避難する
(「とまれ」の案内があった場合は、必ず車を停止させる)
上記が基本となります。
また、救助活動で車を移動させる必要があるかもしれませんので、車から離れる際は、キーを付けたままにしておいてください。
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避難時は決してあわてず、落ち着いて行動するようにしましょう!